先に結論から
- 売値が500万円以下(土地の上の建物の対価を含む)の、都市計画区域内の使われていない土地を売ると、長期譲渡所得から100万円を控除できる(国税庁 No.3226)。市街化区域などの区域内なら、上限は800万円
- 条件:売った年の1月1日で所有期間が5年を超える。親子・夫婦など特別の関係の人への売却は対象外。売ったあとに、その土地が利用される。期間は2020年7月1日から2028年12月31日まで
- 控除額は100万円。譲渡所得が100万円に満たないときは、その金額が控除額
- 手続きは確定申告。市区町村長が、低未利用土地等に当たることなどを確認した書類をもらう。ほかの譲渡所得の特例(収用等の特別控除や買換えなど)とは併用できない。3,000万円控除や取得費加算との関係は、税務署に確かめる
遠くの実家の土地が、買い手のつきにくい、安い土地だったとき。売値が500万円以下なら、譲渡所得から100万円を引ける特例があります。低未利用土地等の100万円特別控除です。国税庁の案内(タックスアンサー No.3226、令和8年4月1日現在)で確かめました(確認日 2026-11-04)。
「相続した空き家を売るときの3,000万円控除」は、昭和56年5月31日以前の建築など、条件が厳しい特例です。こちらは、国税庁のページの条件に、建築年は入っていません。そのかわり、売値の上限と、売ったあとの利用が条件です。
先に、押さえたいことを4つ挙げます。
- 売値が500万円以下(市街化区域などは800万円以下)。土地の上の建物の対価も含む。
- 売った年の1月1日で、所有期間が5年を超える。
- 売ったあとに、その土地が利用される。
- 控除は、100万円まで。期限は、2028年12月31日までに売ったとき。
特例のあらまし
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除できる額 | 低未利用土地等の譲渡所得から100万円。譲渡所得が100万円に満たないときは、その金額 |
| 売る期間 | 2020年(令和2年)7月1日から2028年(令和10年)12月31日まで |
| 手続き | 確定申告 |
対象になる土地
「低未利用土地等」とは、国税庁によると、次のものです。
- 居住や事業などに利用されていない土地
- 周辺の似た土地に比べて、利用の程度が著しく劣る土地
- その土地の上にある権利
さらに、次の条件をすべて満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 区域 | 都市計画区域内にあること |
| 所有期間 | 売った年の1月1日で、5年を超えて所有していること |
| 売値 | 土地の上にある建物等の対価を含めて、500万円以下。次の区域内にある場合は、800万円以下:①市街化区域 ②区域区分が定められていない都市計画区域のうち、用途地域が定められた区域 ③所有者不明土地対策計画を作った市町村の区域(①②を除く) |
| 特別の関係 | 親子や夫婦など、生計を一にする親族、内縁関係の人、特殊な関係のある法人への売却は対象外 |
| 売ったあとの利用 | 売ったあとに、その土地が利用されること(または、利用される見込みがあること) |
| 分筆 | 同じ一筆の土地から、前年または前々年に分筆された土地について、前年または前々年にこの特例を受けていない |
実家の土地が、都市計画区域内か、市街化区域かは、市区町村の都市計画の窓口や、都市計画図で確かめられます。
建物がある実家の土地は?
国税庁のページには、「売値(上限の判定)に、土地の上にある建物等の対価を含む」ことが書かれています。建物がある土地が、「低未利用土地等」に当たるかどうかは、国税庁のページに、これ以上の説明がありません。次の点を、市区町村の確認の窓口と、税務署に確かめてください。
- 空き家のままの建物付きの土地が、対象になるか
- 建物を壊してから売る場合は、どうか(解体の前に確かめること)
手続きと必要書類
確定申告書に、この特例を受ける旨を書いて、次の書類をつけます。
| 書類 | 中身 |
|---|---|
| 譲渡所得の内訳書(土地・建物用) | 確定申告書の付表 |
| 市区町村長の確認を記載した書類 | 売った土地等の所在地の市区町村長が、都市計画区域内であること、低未利用土地等に当たること、売ったあとに利用されている(または見込みがある)こと、所有期間が5年を超えることなどを確認した旨を記載したもの |
| 売買契約書の写しなど | 売値が、上限(500万円・800万円)以内であることが分かるもの |
市区町村の確認の書類は、売る前から、窓口に相談して、必要な書類や日数を確かめてください。
ほかの特例との関係
- 収用等の特別控除や、事業用資産の買換えの課税繰延べなど、ほかの譲渡所得の特例とは、併用できません(国税庁)
- 相続した空き家を売るときの3,000万円控除は、条件に、「同じ資産について、取得費の特例や収用等の特別控除など他の特例を受けていないこと」が入っています(国税庁 No.3306)。100万円控除との併用の可否は、国税庁のページに、はっきり書かれていません。税務署に確かめてください(3,000万円控除)
- 相続税を払った人の取得費加算との関係も、同じく、税務署に確かめます(取得費加算)
どんな実家の土地に向いているか
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 昭和56年5月31日以前の建築で、相続から3年以内 | まず、3,000万円控除が使えるかを確かめる |
| 昭和57年以降の建築、または、3,000万円控除の期限(相続から3年後の年末)を過ぎた | 売値が500万円以下なら、100万円控除を検討 |
| 相続税を払った | 取得費加算も比べる |
| 売値が500万円(800万円)を超える | この特例は使えない |
| 所有5年以内 | この特例は使えない |
売る前に、どの特例が使えて、どれが有利かを、税理士か税務署で、比べてもらうのが確実です。
売るまでの順番
- 名義を確かめる(亡くなった親や祖父母のままなら、先に登記:相続登記、名義が祖父母のままのとき)
- 都市計画区域内か、市街化区域かを確かめる(上限が500万円か800万円か)
- 所有期間が5年を超えるか確かめる(売る年の1月1日で)
- 売る相手を確かめる(親子・夫婦などの特別の関係でないか)
- 売ったあとの利用の見込みを確かめる
- 市区町村に、確認の書類について相談する
- 売る(売値が上限以内に収まるように)
- 翌年に確定申告する
よく聞かれること
- 低未利用土地等の100万円控除は、いつまで使えますか?
- 2020年7月1日から2028年12月31日までの間に売った場合が対象です(国税庁 No.3226)。
- 売値が600万円の土地は、対象になりますか?
- 原則は500万円以下です。市街化区域などの区域内にある土地は、800万円以下まで対象になります。売値には、土地の上にある建物等の対価も含みます。
- 相続して、まだ3年たっていません。所有期間はどう数えますか?
- 国税庁の案内は、「売った年の1月1日において、所有期間が5年を超えている」ことを条件にしています。相続で取得した場合の数え方は、国税庁のページに書かれていないので、税務署に確かめてください。
- 売った相手が、自分の子どもです。使えますか?
- 使えません。親子や夫婦など、生計を一にする親族、内縁関係の人などへの売却は、対象外です。
- 売ったあとに、土地を使わないで放置されたら?
- 国税庁は、売ったあとにその土地が利用されること(または、利用される見込みがあること)を条件にしています。売る相手に、利用の予定を確かめて、書類に残してください。
- 3,000万円控除とどちらが得ですか?
- 売値、取得費、建築年、相続税の有無で変わります。併用できるかどうかも、国税庁のページに、はっきり書かれていません。売る前に、税理士か税務署で、比べてもらってください。
出典
確認日:2026-11-04
※個別の判断は、税務署や税理士、市区町村の窓口に確かめてください。