先に結論から
- 固定資産税は、その年の1月1日に、登記簿などで所有者とされている人に課税される。所有者が亡くなっていれば、1月1日に現に所有している人にかかる(地方税法343条)。標準税率は1.4%(350条)
- 家が建つ土地は、住宅用地の特例で課税標準が6分の1(200㎡以下の部分)または3分の1に下がる。都市計画税は3分の1または3分の2(349条の3の2、702条の3)
- 特例が外れるのは、家を壊して更地にしたとき、空家法の勧告を受けたとき、住宅でなくなったとき。更地では課税標準が3倍(小規模部分は6倍)の計算になる
- 亡くなった親の名義のままなら、現に所有する人は市町村の条例に従って申告する。申告しないと、条例で10万円以下の過料を定める市町村もある(384条の3、386条)
実家が空き家になっても、固定資産税はかかり続けます。家に住んでいなくても、土地と建物の持ち主には毎年、納税の通知が届きます。ここでは、誰に・何にかかるのか、土地の税金を軽くする「住宅用地の特例」がどんなときに外れるのかを、地方税法の条文で確かめました(e-Gov 法令検索、確認日 2026-11-03)。
先に、押さえたいことを4つ挙げます。
- 税金は1月1日の所有者にかかる。亡くなった親の名義のままでも、通知は届く。
- 家が建つ土地は、住宅用地の特例で課税標準が下がる(小規模部分は6分の1)。
- 特例が外れる場面が3つある。更地にする、勧告を受ける、住宅でなくなる。
- 実家を壊す時期は、1月1日の前後で翌年の税額が変わる。
固定資産税は誰にかかるのか
地方税法第343条は、固定資産税を固定資産の所有者に課すとしています。土地や家屋の「所有者」とは、登記簿に所有者として登記されている人です。
そのうえで、次の決まりがあります。
所有者として登記又は登録がされている個人が賦課期日前に死亡しているとき、(略)同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。(地方税法第343条第2項)
つまり、登記簿の名義人が賦課期日(1月1日)より前に亡くなっているときは、1月1日に実際にその土地や家屋を所有している人に課税されます。親が亡くなったあと、相続登記がされていなくても、税金は止まりません。
親の名義のままのとき:現所有者の申告
名義が亡くなった親のままの土地や家屋について、市町村長は、現に所有している人(現所有者)に、住所・氏名など固定資産税の課税に必要な事項を申告させることができます(地方税法第384条の3)。
- 申告の期限は、市町村の条例で決まります。法律は「現所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過した日以後の日まで」と定めています
- 申告しないとき、市町村は、条例で10万円以下の過料を科す旨を定めることができます(第386条)
実際の運用は、市区町村で違います。相続が発生したら、実家のある市区町村の税務課に問い合わせて、必要な手続きを確かめてください。名義の変更は、相続登記で行います(相続を知った日から3年以内。2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで)。
税額のしくみ
| 項目 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 標準税率 | 1.4%(市町村が条例で変えることがある) | 地方税法第350条 |
| 免税点 | 同じ市町村内の同じ人の所有で、課税標準が土地30万円、家屋20万円に満たなければ課税されない | 第351条 |
| 納税の通知 | 毎年、市区町村から納税通知書が届く(課税明細書がつく) | |
| 都市計画税 | 市町村が課す税。税率は0.3%が上限 | 第702条の4 |
住宅用地の特例
家が建っている土地は、住宅用地として、固定資産税の課税標準が小さくなります(地方税法第349条の3の2)。
| 区分 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 価格の6分の1 | 価格の3分の1 |
| それ以外の住宅用地(200㎡を超える部分) | 価格の3分の1 | 価格の3分の2 |
(200㎡を超える住宅用地は、住居の数で割った面積が200㎡以下かどうかで、小規模住宅用地の範囲が決まります。)
計算例(仮の数字)
土地の価格(評価額)が1,200万円、面積が150㎡で、標準税率1.4%の場合:
| 状態 | 課税標準 | 固定資産税(土地) |
|---|---|---|
| 家が建っている(小規模住宅用地) | 1,200万円 × 1/6 = 200万円 | 200万円 × 1.4% = 28,000円 |
| 更地 | 1,200万円 | 1,200万円 × 1.4% = 168,000円 |
差は6倍です。実際の税額は、土地の評価額、市区町村の税率、負担調整の仕組みで変わります。ここの数字は、仕組みを説明するための仮のものです。自分の家の数字は、毎年届く納税通知書の課税明細書で確かめてください。
特例が外れる3つの場合
1. 家を壊して更地にしたとき
住宅用地の特例は、住宅の敷地になっている土地が対象です。家を壊して更地にすると、特例の対象から外れます。
固定資産税の賦課期日は1月1日です(地方税法第359条)。その年の1月1日に家が建っていれば住宅用地の扱いで、更地になっていれば更地の扱いです。同じ解体でも、年末に壊すか、年明けに壊すかで、翌年の税額が変わります。
たとえば、12月に壊すと、翌年1月1日に更地なので、その年度から更地の税額になります。1月以降に壊すと、その年度の税額は、まだ住宅用地の扱いのまま、次の年の1月1日から更地になります。
くわしい注意は、解体の前に確かめることにまとめています。
2. 空家法の勧告を受けたとき
地方税法第349条の3の2は、住宅用地の特例の対象から、空家法の勧告を受けた管理不全空家等(第13条第2項)と特定空家等(第22条第2項)の敷地を除いています。家が建っていても、勧告を受けると特例が外れることがあります。
管理が行き届かない空き家は、まず指導、次に勧告と進みます。流れは管理不全空家とはに書きました。指導の段階で直すことが、税金を守ることにもつながります。
3. 住宅でなくなったとき
特例の対象は、人の居住の用に供する家屋の敷地です(法律が定める住宅用地)。建物が住宅として使われなくなったり、店舗や倉庫などに変わったりすると、特例の範囲が変わることがあります。空き家の場合の取り扱いは、市区町村の判断が入るため、実家のある市区町村の税務課に確かめてください。
壊したあとの税金を軽くする制度(減免)
市区町村によっては、空き家を壊したあとの土地の固定資産税が上がる分を、一定期間、軽くする制度があります。一例として、木更津市は次のように案内しています(2026年11月3日に確認)。
- 対象:おおむね1年以上空き家だった住宅を、2028年3月末までに壊した土地
- 条件:空き家バンクに登録し、売る意思があること。家と土地を同じ個人が所有していること。市税の滞納がないこと。法人は対象外
- 内容:通常の税額と、住宅用地の特例が続いていたとした場合の税額との差額を減免する
- 期間:2年間(年度ごとに申請)
条件、期間、申請の方法は、市区町村で大きく違います。壊す前に、実家のある市区町村の税務課や空き家の窓口で、減免があるかを確かめてください。解体の補助と同じで、壊したあとでは申請できない場合があります。補助は解体の補助を比べるで比べています。
空き家の税金を減らす、そのほかの考え方
- 管理して、勧告を受けない:管理を頼む先の選び方
- 火災保険も確かめる:空き家の火災保険
- 売る:税金とあわせて、3,000万円控除の期限を確かめる。空き家バンクも選択肢
- 貸す:家賃収入が入る。ただし、売るときの3,000万円控除が使えなくなることがある
- 建物がなく、条件を満たす土地なら:国に引き取ってもらう制度もある(審査手数料と負担金がかかる)
- 相続したくないなら:相続放棄は3か月以内で、財産の全部を手放す
税金の面だけで、壊すか壊さないかを決めるのは危険です。家の傷み、売りやすさ、管理の手間とあわせて考えます(4つの道を比べる)。
よく聞かれること
- 空き家でも固定資産税はかかりますか?
- かかります。固定資産税は、1月1日に、登記簿などで所有者とされている人に課税されます。住んでいるかどうかは関係ありません。
- 親が亡くなって、名義が親のままです。税金は誰にかかりますか?
- 1月1日より前に名義人が亡くなっているときは、1月1日に実際にその土地や家屋を所有している人に課税されます(地方税法第343条第2項)。市区町村から申告を求められることがあります(第384条の3)。
- 実家を壊すと、固定資産税はどうなりますか?
- 家が建っている土地には住宅用地の特例(200㎡以下の部分は課税標準が6分の1、それを超える部分は3分の1)がありますが、更地にすると外れます。そのため、土地の税額が上がることがあります。
- 年末に壊すのと、年明けに壊すのでは、税金は変わりますか?
- 変わります。固定資産税は、その年の1月1日の状態で決まります。1月1日に家が建っていれば住宅用地の扱い、更地になっていれば更地の扱いです。
- 空き家をそのままにしておくと、税金が上がることはありますか?
- あります。管理が行き届かず、市区町村から空家法の勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例の対象から外れます(地方税法第349条の3の2)。
- 壊したあとの税金が上がる分を、軽くしてもらえますか?
- 市区町村によっては、壊したあとの土地の固定資産税を、一定期間減免する制度があります(木更津市は2年間)。条件が違うため、壊す前に市区町村の窓口で確かめてください。
- 固定資産税の通知が届かなくなりました。払わなくてよいのですか?
- 払わなくてよいとは限りません。名義人が亡くなっていると、通知の宛先が変わったり、届かなかったりすることがあります。課税されなくなったわけではないので、市区町村の税務課に問い合わせてください。
出典
確認日:2026-11-03
- 地方税法 第343条・第349条の3の2・第350条・第351条・第359条・第384条の3・第386条・第702条の3・第702条の4(e-Gov 法令検索)
- 空家等対策の推進に関する特別措置法 第13条・第22条(e-Gov 法令検索)
- 空家除却に係る固定資産税の減免制度(木更津市)
※個別の税額は、市区町村の税務課や、毎年の納税通知書の課税明細書で確かめてください。